例年より少し長い梅雨、やっと明けたかと思いきや待ってましたとばかりに、ぎらぎらと照り付ける太陽。
毎日毎日うだるような暑さ。たまらない。
「エアコンの効いた部屋ばかりでは、身体によくないよ。」と言われたのは、一昔前の話。
もちろん、自然の涼風が身体には優しいし、エアコンを使わずに涼をとれるならばそれが一番いいに決まってる。
でも、今は自然の涼風なんてどこ?
いや、自然の涼風なんて滅多に吹かない。屋内でエアコンを使わずにいるのも、高いビルディングも鉄のかたまりの乗り物もほとんどない緑豊かな田舎の窓がたくさんある木造住宅ならまだ居れるのか。
最近では、エコ住宅、エコハウスなんて銘を打った快適な住宅もあるのはあるらしいが、それでも昨今の気温の上昇による息苦しいくらいの熱さでは完全にエアコンなしという生活は考えられないだろう。
また、エコ住宅の快適さを経験したことがない私のような者にとっては余計にである。
家の中で熱中症で倒れる人もいるくらいだから、鉄筋コンクリートのかたまりだらけの都市部では、エアコンなしで室内にいるなんて、それだけで我慢大会のようなもの。
「今では、屋内にいるときでも、我慢せずにエアコンを使いましょう。」
と呼びかけるのが普通なくらいに暑さ(熱さとも言えるか)が増している。
一方、エアコンを使うことが温暖化にまた拍車をかけるのも承知している。
省エネエアコンと各メーカーがこぞって商戦を繰り広げているけれど、それでもエアコンを使うことによって温暖化に影響があるのは事実。
だけどそれがわかっていても、この灼熱地獄の中、家にいるとどうしてもエアコンの電源をONしてしまう。
この季節は外出先から自宅に帰ると、無意識にエアコンを入れている。夏のルーティン作業の一つになっている。
そんな中、先日友人たちとの間で繰り広げられたエアコンにまつわる話をここで紹介しよう。
エアコンは、今や夏も冬も活躍する白物家電
「エアコンってさー、白くまくんとかさ、エオリアとか名前がついてるけどさ。あれって必要だと思う?」
友人A氏が、お昼に入ったお蕎麦屋さんで抹茶色の茶そばを美味しそうな音を立てながらすすって一息つくや否や、私と友人B氏に問いかけた。
「あー、いわゆる※ペットネームみたいなね。」※この場合は、商品に馴染みやすいように各メーカーがつける愛称のことを指す
「・・・、ビーバーエアコンとか、霧ヶ峰とかもそうだね。・・・、要はエアコンの代名詞みたいなね。」
「私がつけるならそうだな・・・『かまくら』とかどう?雪の部屋の中にこもるって意味で、すごい涼しそうじゃない?」
「確かに・・・。じゃ『ヒヤミン』とかは?冷えと爽快なミントを組み合わせて、ヒヤミン。」
とまぁ、このあとしばし、どんな名前がいかにひんやり感じさせるかで、盛り上がったのですが
終盤にはホラーマンとか、ゾンビとか違う意味で寒くなる怪名が出てくる始末。そんなの、新種のエアコンのペットネーム決定会議で即却下されるわね。きっとね~。Ahahaー
結局、話はエアコンのペットネームを自分がつけるならという大喜利みたいになってしまったのだけれど、A氏が言いたかったのはエアコンって今や、部屋を冷やすためだけじゃない、夏だけの活躍にとどまらず、暖房も兼ね備えている白物家電なわけで、冬場も活躍してくれる。
それが白くまくんやら、霧ヶ峰って、いかにもヒンヤリを連想させる・・・つまり、夏だけに活躍する家電のためにつけられてるネーミングがおかしいという。
考えてみれば確かに、その通りだ。
エアコンは、今や、夏だけでなく冬も立派に活躍して家の中をあったかくしてくれる。
ファンヒーターや床暖房の勢いにも負けてはいない。
コスト面で言えば、部屋の大きさや使用時間にもよるけどファンヒーターより、エアコンの方が安いっていうデータも出てるし。
そう。エアコンは冬には何の活躍もできずにただ黙って壁についている邪魔なオブジェでも何でもなくって、今や冬も大活躍してくれる白物家電。
壁についているその姿は、場所だけ取ってお掃除の時も大変手間をかけて誠にすみません・・・とでもいうように、大方がただ部屋を冷やすためだけの目的で取り付けられていた昔とは違い、今は、エアコン本体がお掃除機能を兼ね備え、フィルターのゴミをとったり、嫌な臭いだってとって空気を綺麗にしてくれるエアコンも登場して、エアコン自身で普段のお手入れくらいはできますよとでも言いたげに誇らしげについているようにすら見える。
そう思ったら、夏を代表する家電ですよっていう名前はちぐはぐなものに感じてしまう。
白くまくんなんて、あったかい部屋では死活問題になってしまう。
・・・
でもさ。
ちなみに、白くまくんは日立のエアコンだけれど、白くまくんという愛称が知られていて、白くまくん=日立ってぱっと出てこない人も多いと思う。
だから、白くまくんに限らず、霧ヶ峰もビーバーエアコンもみんなみんな、長い歴史を背負って生き抜いてきて、各メーカーの代表家電として、世にその名を知らしめて来たのだから、その偉業を称える意味でも、夏も冬も関係なく、これからも白くまくんには白くまくんのままであり続けてほしい。
そのような結論に至り、私達3人は残りのそばを、それぞれに音を立てながらすすった。
エアコンの効いた涼しい店内で。